社会人が留学するからといって、必ず仕事を辞める必要はありません。短期留学なら有給休暇や休職、長期留学なら退職が現実的な選択肢になることがあります。留学期間、会社の制度、帰国後の働き方、生活費を準備できるかによって判断しましょう。
社会人の留学で仕事を辞めるか判断する基準
まず、次の4点を確認すると、退職が必要かどうかを整理しやすくなります。
- 留学期間はどのくらいか
- 留学中も現在の会社に籍を置く必要があるか
- 帰国後に現在の会社へ戻りたいか
- 留学費用と帰国後の生活費を準備できているか
たとえば、数週間から数か月の留学であれば、退職せずに有給休暇や休職を利用できる可能性があります。一方、1年以上の留学や、現地で学位取得・就労経験を目指す留学では、退職を選ぶ人もいます。
仕事を辞めずに留学する方法
会社に戻る可能性が高いなら、退職前に休む方法を検討する価値があります。主な方法は、有給休暇、休職、勤務日数の調整などです。ただし、利用できる制度や条件は会社ごとに異なります。
有給休暇を使う
短期留学であれば、有給休暇をまとめて取得する方法があります。取得できる日数や時期は、業務の繁忙期や職場の承認状況にも左右されます。
有給休暇だけで足りない場合は、前後の休日と組み合わせて留学期間を延ばせるか検討します。ただし、休暇中に授業へ通えるか、渡航先の滞在条件を満たせるかは別に確認が必要です。
休職制度を利用する
数か月から1年程度の留学では、休職制度が合う場合があります。休職中は会社に籍を残せますが、給与、社会保険料、賞与、復職条件などは会社の規定によって異なります。
「留学を理由に休職できる」とは限らないため、就業規則や人事担当者への確認が必要です。確認する項目は次のとおりです。
- 留学を理由とする休職が認められるか
- 休職できる期間と延長の可否
- 休職中の給与や社会保険料の扱い
- 復職する部署や仕事内容が保証されるか
- 留学中の就労やアルバイトに制限があるか
働きながら短期留学する
オンライン授業や短期の語学研修であれば、退職せずに働きながら学ぶ方法もあります。ただし、勤務時間と授業時間、通勤・移動時間が重ならないかを事前に確認しましょう。
海外滞在中に日本の仕事を続ける場合は、会社の許可だけでなく、勤務場所や情報管理、税金、保険、滞在資格などの確認が必要です。自己判断で海外から勤務を始めるのは避けてください。
仕事を辞めて留学したほうがよいケース
次のような場合は、退職が選択肢になりやすいです。ただし、退職前に再就職の時期と資金計画を決めておくことが重要です。
- 半年以上など、長期間の留学を予定している
- 大学や大学院など、学習に集中する必要がある
- 留学後に別の業界や職種へ転職したい
- 現在の会社に戻る意思がない
- 会社に休職制度がない、または希望する期間を利用できない
- 留学先でのインターンシップや就労経験を重視している
特に、留学を転職やキャリアチェンジにつなげたい場合は、現在の会社に戻る前提で休職するより、留学中に学ぶ内容や帰国後の応募先を具体化したほうが判断しやすくなります。
退職して留学するメリットと注意点
| 項目 | 考えられること |
|---|---|
| 時間 | 仕事との両立を考えず、授業や課外活動に集中しやすい |
| 経験 | 長期滞在や現地での活動に時間を使いやすい |
| 収入 | 留学中の給与がなくなる可能性がある |
| 帰国後 | 再就職活動や生活費の準備が必要になる |
| キャリア | 留学の目的と成果を、応募先に説明できるようにする必要がある |
退職すると自由に計画を立てやすくなる一方、帰国後に仕事が自動的に決まるわけではありません。留学した事実だけでなく、何を学び、どのような能力を身につけ、仕事でどう生かせるのかを説明できるようにしておきましょう。
退職前に確認したいお金の計画
留学費用は、授業料や滞在費だけでなく、渡航費、保険、現地交通費、教材費、ビザ関連費用なども含めて考えます。さらに、帰国後すぐに収入が得られない場合に備え、帰国後の生活費も別に確保します。
計算するときは、次のように分けると不足を把握しやすくなります。
必要資金 = 留学中の費用 + 渡航・手続き費用 + 帰国後の生活費 + 予備費
実際の金額は留学先、期間、住居、学校、為替などで変わります。留学先の学校や滞在先が示す費用を確認し、収入がなくても生活できる期間を計算してから退職を決めましょう。
退職と休職で迷ったときの決め方
判断に迷う場合は、次の順番で考えると、勢いだけで退職することを防げます。
- 留学の目的を「語学力向上」「資格取得」「学位取得」「転職」など具体的に書き出す
- 目的を達成するために必要な期間と学習時間を決める
- 会社の有給休暇、休職、復職条件を確認する
- 留学費用と帰国後の生活費を計算する
- 退職した場合と、仕事を続けた場合のキャリアを比較する
- 家族など、生活費や住居に関係する人へ計画を共有する
「今の会社に戻りたい」「留学期間が比較的短い」という条件なら、まず休職や有給休暇を確認するのが現実的です。「留学後に転職したい」「長期間の学習が必要」という条件なら、退職を含めて帰国後の就職活動まで計画します。
仕事を辞める前に会社へ確認すること
退職を決める前に、会社の制度を確認してください。退職を申し出る時期や手続きは会社の規定によって異なるため、就業規則や人事担当者への確認が必要です。
- 休職や長期休暇を利用できるか
- 退職を申し出る期限や手続き
- 退職日までに引き継ぐ業務
- 有給休暇の残日数と取得方法
- 退職後の健康保険や年金の手続き
- 会社から貸与された機器や資料の返却
制度を確認する前に退職届を提出すると、休職など別の選択肢を検討できなくなることがあります。まず制度と条件を確認し、その後に退職か休職かを決めるのが安全です。
社会人の留学で仕事を辞めるか迷ったら
社会人の留学では、短期なら退職せずに休暇や休職を使い、長期留学や転職目的なら退職を検討するのが基本的な考え方です。ただし、休職の可否や復職条件は会社ごとに異なります。
最初に、留学の目的と必要な期間を決め、会社の制度と留学中・帰国後の資金を確認してください。そのうえで、現在の会社に戻る必要があるかどうかを基準に、仕事を辞めるか判断しましょう。


